「低級霊」なんて聞くと、その力自体も低級で弱いものだと軽視されがち。でもなかには、知識に富んだ低級霊もいれば、凶悪でポルターガイストを起こすような低級霊もいるのです。低級霊の実態と、憑かれた場合に起こる現象について、経實霊能者が解説します。
「低級霊」とは、霊格レベルが低くて未熟な霊のこと。大抵の低級霊はタチが悪く、人間によくない影響を及ぼしますが、なかには空気のように影響力を持たない低級霊もいます。
低級霊の多くが浮遊霊です。霊自体は大きな力を持っていないことが多いのですが、人間に与える影響は意外と大きい傾向にあります。というのも、低級霊は霊界にいる高次の霊体と違って、物質優位の人間界をうろついている存在。人間の意識とリンクしやすく、その思考に働きかけ、操ることを得意としているのです。しかし、そうは言っても、人間本体が心身共に元気であれば、低級霊は人間をそうそう操ることはできません。しかし、霊というものは非常に鼻が利くため、人間の弱った霊波動をすばやく察知し、気付かないうちにスーッと近寄ってくるのです。
精神的に不安定になっているとき、肉体的に疲れているとき、波動に歪みが生じているときは要注意です。気を付けてほしいのは、本人が元気いっぱいで問題が何もなくても、守護霊が弱っているとき。守護霊が弱っていることなどは、霊能力のない人にはなかなかわからないと思いますが、“守護霊が弱っている=貴女を守る力が弱くなっている”ということ。最近ツイていない、怪我をすることが増えた…そんなときは守護霊のパワーが弱くなっている可能性があります。そして、力を十分に発揮して貴女を低級霊から守ることが難しくなります。また、心霊スポットなどよくない類の霊が多数いそうな場所に行くのも、霊につけ入る隙を与えることになります。
低級霊はただそばで浮遊するだけでなく、そっと忍びより、貴女に憑依する隙を窺っています。首の後ろや頭の天辺、口、脚の裏などからスーッと入ってくるので、気を付けてください。憑依されれば貴女自身の精神が蝕まれ、言動をコントロールされることになります。
霊格の低い霊に憑依されると、憑かれた人の霊的レベルも低くなりがち。ネガティブな感情、攻撃的な感情にとらわれ、周囲の人間を巻き込み、何かと騒動を起こしやすくなります。通常であれば落ち着いて対処できるようなことも、対処不可能になってしまうのです。人とのやりとりのなかで、カッとなって攻撃的なことを口走ってしまい、後から後悔することが多い…というのなら、憑依を疑ってみてもいいでしょう。
要するに感情を制御できなくなり、自分の言動が他の人の瞳にはどのように映るのか、またどんな影響を与えるのかといったことに考えがまったく及ばなくなり、人前でも怒りや悲しみを露骨に出すようになってしまうというわけですね。「○○さん一体どうしちゃったの?」という位、周囲の眼には奇異に映るはずです。
ではここで、低級霊にとり憑かれたお客様の実例を2つご紹介することにしましょう。
<Yさんの場合>
その日ご連絡をくださったのは、Yさんのお母様。娘の様子がおかしいといって、お電話をくださったのです。
「以前の娘はおっとりとした気立ての良い子でしたが、性格が荒々しくなり、すっかり別人になってしまいました。最近失恋をしたせいだとばかり思っていましたが、どうもそれだけではないような気がしてきて……」
霊能力を研ぎ澄まし、Yさんを電話越しに見てみると、その斜め後ろにガリガリにやせ細った女性の霊が立っていました。眼はギョロギョロと落ち着きなく動き、神経質そうに絶えず爪をさわっています。彼女は、自分が死んだということに気づいていません。そして憑依されたYさんも、女性の霊と同じように眼をギョロギョロと動かし、爪をさわっている様子が見えます。すでに霊に言動をコントロールされていることが、ハッキリと見て取れました。
「どうして、その女性に憑いているのですか?」
「私はあるときを境に、自宅から出られなくなってしまったの。だから、この女性をつかって表に出るしかないのよ!」私の問いに霊は苛立ったように答え、ワーッと泣きだしました。
実はその女性は、現在Yさんが住んでいるマンションで数年前に亡くなっていたのです。死んだという認識がなくその場に縛られていましたが、Yさんの霊波動が失恋で弱々しくなるのを読みとるや、すばやく憑依。Yさんの身体をのっ取って、毎日のように昔の恋人を探し歩いていました。
このまま霊を憑依させたままだった場合の未来が、映像となって脳内のスクリーンに映しだされました。Yさんはさらに衰弱。昔の恋人に出逢い、再び恋人になろうとする姿も見えました。このままでは、Yさんの体は本当に霊のものになってしまう…。非常に危険な状態でした。
霊には「既に貴女は亡くなっている」と説明。最初は納得してくれませんでしたが、除霊し、供養して魂を癒すと、穏やかな顔になって天界に昇っていきました。Yさんはというと、無事に元の明るくて優しいお嬢さんに戻りました。Yさんの場合、失恋で魂が弱っていたことが原因で低級霊にとり憑かれたことは明白ですから、二度と同じような低級霊の被害に遭わないよう波動修正。失恋の痛手も癒し、魂を強化しました。もう心配はいらないでしょう。
<Nさんの場合>
Nさんは、あるときから体がひどく重いことに気が付きましたが、理由に心当たりがありました。実は先日、友人数人と心霊スポットに行ってしまったのです。何も起こらなかったものの、嫌な胸騒ぎがしていたNさん。その後、鏡に映った自分の顔が別人に見える、気付くと怪我が増えている、記憶のない時間帯がある…などの不可解なことが続いて精神的に不安定になり、雑誌に載っていた電話占い弦にお電話くださったのです。
電話がつながってすぐ、私の脳裏に飛び込んできた映像は、それは衝撃的なものでした。うっそうとした木々の中を友人数人とビクビク怯えながら歩くNさん。そして人間を取り囲むように、無数の霊が浮遊していたのです。薄笑いを浮かべた霊、怒りの表情をしている霊、恨みがましい眼で訴えかけてくる霊…。その一つひとつの顔を捉えることができないほど、たくさんの霊がいます。なかには、姿形のはっきりとしない、煙のような霊も。遊び半分で心霊スポットに行ったNさんたちは霊の怒りを買い、そのまま霊を憑けて帰ってしまったのでした。
「心霊スポットに行きましたね」と私が言うと、Nさんの息をのむ気配が伝わってきました。
今見えたままのことと、このまま霊を憑けたままでいると非常に危険である旨をお伝えし、すぐに遠隔での除霊を開始することに。一つひとつの霊のパワーは強くないのですが、なにしろ数が半端ではありません。かなり手こずりましたがなんとか除霊を終えると、先程まで覇気のなかったNさんの霊波動も、生き返ったように生き生きと輝きを放ちはじめました。
「霊も狡猾なもので、自分たちの存在に怯える敏感な人間を決して逃がしはしないんです。それにNさん、貴女は他の人に比べて怯え方が尋常ではありませんでしたね。次々霊が寄り集まってくる心霊スポットでは、貴女のような存在は格好の餌食。霊の集中攻撃を受けてしまったのです」。Nさんは二度と心霊スポットに行かないと約束してくれました。
低級霊にとり憑かれるリスクを回避する方法……それは、心身を健全に保ち、安心できる環境に身を置くこと。また、普段から善行をし、霊格を高めておくことも有効です。
しかし、霊格を高め、安心できる環境に身を置いても低級霊を呼び寄せてしまうような、霊媒体質の方もなかにはいらっしゃるはずです。そういった方は、「生きている自分の方が低級霊よりも強い。だから大丈夫!」という強い心を持ち、粗塩を一つまみ持ち歩いてください。それだけでも、防御率は格段に高まります。
それでも低級霊の存在を感じる、離れていかないという場合は、私をはじめとする弦の霊能者を頼ってください。審神者でもある弦の霊能者たちであれば霊のレベルを正確に見極め、貴女を霊の魔の手から救うことが可能です。